原価上昇の中、価格競争で生き残ることは難しい
原価上昇が続いています。このままでは利益がでなくなってしまい、価格競争を続けて苦しんでいませんか? 価格競争から脱却する方法は2つあります。
①価値を維持して価格を半分に
②価値を4倍にして価格を2倍に
あなたはどちらがベストな選択肢であると思いますか? 問題点を探ってみましょう。
①には問題点が2つ該当します。
・価格を半分にして利益が出せるか
・価格を半分にできてもいずれ他社が追随してくる可能性がある
コスト削減で価格を半分にできても、他社が追随してくる恐れがあるため、 さらなる値下げの繰り返しで、いずれ限界に達して利益が見込めなくなる可能性があります。
したがって、②の方法で競争から抜け出さなければなりません。 まさに価格を上げるための「知恵比べ」で競争から抜け出さなければなりません。
値上げのための4つの方法
(1)値上げしやすい商品や取引先から値上げしましょう
多くの原材料が値上げされており、ロックダウン、ウクライナ情勢、円安などの理由を材料に値上げ交渉の材料にすることが可能になります。
値上げの際は原材料以外の燃料費、運賃など全て組み入れてください。 実施の際は、自社の経営に大きな影響を及ぼさない取引先から行います。
(2)基本形を値下げし、オプション化して商品単価をあげましょう
単純な値上げは得意先に反発される可能性が懸念されます。 そのため、基本形(商品機能や品質)だけに絞り込み、値下げを実施します。
これまで無料で提供していた付属品やサービスなどをオプション化し、有料化します。
不要なものを取り除いて値下げすれば、満足する取引先もいらっしゃいます。 足りないと感じる取引先はオプションを付けるでしょう。 そうなれば客単価があがり、利益をあげることができます。
(3)価格帯を増やしましょう
価格帯を増やすことによって、単価を上げる方法もあります。 例えば、現在2つの価格帯を設けていることで、真ん中の商品が売れるようになります。 単純な値上げと違い、すんなり受け入れてもらえる可能性が高まります。
ただし、価格帯を増やしすぎると選ぶのが億劫になり、購買欲を失ってしまう可能性もあります。 2段階を3段階に、3段階を4段階にと段階を踏んで設定するくらいがベストでしょう。
(4)直販比率を増やしましょう
卸売業者を通して販売している会社や下請け体制の会社では 直接販売を増やすことで粗利益が増え、実質的な値上げの効果がでます。 ホームページやSNS、Googleプロフィールなどを活用して経費がかからない 新しい流通チャネルの開拓に取り組んでみてください。
特にYouTubeやTwitter、Facebook(Metaへ変更予定)などの 動画を用いた情報発信は自社テレビ局を持つようなニュアンスのため、 長期的な目線でも取り組んでいただくことをお勧めします。 最初から上手に実施を試みると心理的負担も大きすぎるため、 「徐々に上達していけたら」くらいの意気込みの方が長期的に継続が見込めるかもしれません。
イメージアップでブランド化する
「よいものをより安く」が日本の流通事業の柱のような売り方です。 その一方で「良いものは高い」のも流通事業の販売方法では重要な点となります。 どちらの常識を基準に事業を組み立てるかで、該当企業の「性格」が決まります。
例えを参考にしてみましょう。 「1本千円のワイン」と「1万円のワイン」では品質のイメージが全く異なります。 “1万円のワイン”と聞いただけで高品質をイメージするからです。
つまりイメージがあがれば値段が高いのも当たり前になります。 価格に見合う価値を提供しなければならないのは言うまでもありません。
これは消費者対象のビジネスだけでなく、企業対象のビジネスも同じです。
イメージをあげるには、今回扱った下記4点の方法があります。
①値上げする
②専門化する
③オンリーワン化する
④商品名を工夫する
これらを組み合わせれば、独自化や差別化でき、 全ての中小企業(部品製造業を含)でブランディングが可能になります。 原価の上昇に悩み、値上げを検討している今、 新しいビジネスへとステージを移すチャンスです。
商品の価格と価値を高め、より利益の出る会社にできるようチャレンジしてみてください。
また、「ビジネスモデル俯瞰図で自社の全体像を可視化しよう」の記事で、自社の全体を可視化する方法を解説しています。あわせてお読みください。