コロナ禍で様々な機関と対面で接する機会が減ってきていると思われます。 その中でも金融機関と信頼関係を維持していくには正確でタイムリーな情報提供が重要となります
業績報告資料を添えて詳しく説明できるようにしておきましょう
下記はある企業代表が税理士に相談しているケースです。
このケースを参考に情報提供の知見を構築していきましょう。
A社代表 :原材料の高騰があり、今度運転資金の借入に行こうと思っているですが。
税理士:
原材料の高騰の影響で運転資金が厳しくなるようでしたら 借入によって資金繰りを安定させることも必要だと思われます。 借入を申込む際に金融機関から現在業績について詳しく聞かれますので、 月次試算表などの有効な根拠資料を一緒に提出できるようにしておきましょう。
例えば、月次試算表を一緒に提出すれば、原材料が高騰した際の資金繰りがすぐわかり、業績を伝えやすくなります。
根拠資料によって業況変化の要因が一目でわかれば、金融機関も業績予測がしやすくなります。
売上が減少した場合には詳細な説明を行えば、金融機関から経営改善などの打開策を提案してもらえることもあります。
金融機関にとっては融資した資金がきちんと返済されるかが重要です。売上増減の理由が一過性なものか、構造的なものか判断できれば支援もより的確なものになります。
A社代表: 根拠資料があることで銀行側の理解が深まれば、よりよい支援につながる可能性がありますよね。
税理士:
金融機関においても様々な理由で企業との面談の機会が減ってきています。 そのため、資料を添えて現況をタイムリーに伝えることがこれまで以上に重要となるでしょう。 「TKCモニタリング情報サービス」では決算書や月次試算表のデータを金融機関に自動的に開示するため、 金融機関に決算書を持って行ったり、担当者に決算書を預けたりする必要がなくなります。 特に「月次試算表提供サービス」では金融機関が企業の状態の変化をいち早く知ることができ、面談機会が減っても情報を随時提供でき、金融機関との信頼関係の維持に役立つでしょう。
A社代表: 月次の報告が金融機関との信頼関係の維持につながっていくんですね。他に情報ありますか?
税理士: そうですね、、例として税理士が税務申告書作成にあたり、税理士法第33条の2に基づく書面添付を行っていれば、「添付書面」を金融機関にも情報提供しましょう。
「添付書面」には税理士による会計・税務判断のほか、今期大きく増減した科目の原因とその理由などが記載されています。これにより、税務申告書と決算書の質が向上し、信頼性を高めることにつながるでしょう。
「添付書面」を金融機関に情報提供することで、増減項目とその理由が伝わるだけでなく、決算書の信頼性が高いと認識してもらえると想定されます。
融資判断にも良い影響を与えると考えられます。 経営者保証ガイドラインに沿った対応をしていると評価されれば、信頼関係が深まり、経営者保証のない融資に繋がる可能性も出てくると思われます。
融資の提案を受けたら会計事務所に相談しましょう
A社代表: ここまで情報提供がスムーズになれば素早い融資のご相談が期待できそうですね!
税理士 :情報提供がスムーズであれば融資手続きも早くなるでしょう。正確な情報がタイムリーに伝わることで、金融機関から融資提案が多くなることもあります。状況によって借入の必要がない場合もありますし、将来の資金繰りを考えば借りすぎもよくないです。融資の提案を受けたときには、会計事務所にまずは相談をしてください。会社の業況をお伺いすることで財務状態についても把握でき、適切な助言が期待できます。
【参考情報】やるべきこと!更新後の各種許認可証の提出
業種によっては、特定の事業を行うために行政機関から許認可が必要なものがあります。主に開業時に申請しているはずですが、中には更新が必要なものがあります。
融資の際、許認可証を確認されることがよくあるため、更新後は再度、金融機関に提出するようにしましょう。融資手続きの中で以前のままであったりすると、手続きに遅れが出る原因になってしまいます。あらかじめ提出しておくことで、スピーディーに手続きを進めることができます。
<更新が必要な許認可の一例>
・建設業許可(建設業・5年更新)
・宅地建物取引業免許(不動産業・5年更新)
・飲食業許可(飲食業・5〜8年更新〈管轄する保健所の基準による〉)
また、こちらの記事「要注意!中小企業の60時間を超過する残業の割増賃金率が引き上げとなります」で、中小企業の残業の割増賃金率について、解説しています。ぜひ参考にしてみてください。