中小企業の成長期における問題点は「財務」プラス「労務・法務」
中小企業が、売上が伸びてきている成長期に大切なのは、上記の「財務」にプラスして「労務・法務」です。
労務とは簡単に言うと、人間関係トラブルのことを指します。
中小企業の成長期において、最も大切なことのひとつに、良い人財の確保・教育・職場環境の提供・給与管理が挙げられます。
経営者1人でなんとかなっていた企業体制から、人を雇って会社をより成長させるステージです。
しかし実際には、多くの経営者は売上や利益が最重要視され、労務管理が後手になりがちです。
その結果、人間関係トラブルを招き、会社のイメージダウンや、社内へ悪影響を与えることになり、経営者として大きな労力を費やすことになります。
人事・労務・職場トラブルは時代の変化に伴い、その内容も昔と比べ個別化・多様化しており、また法律も毎年のように改正されています。
厚生労働省の「平成26年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、民事上の個別労働紛争相談件数は約24万件にものぼります。
こうした問題を防ぐためには
- ずさんな勤務管理の是正
- 有給休暇の適正な取得推進
- サービス残業(賃金不払い残業)をなくす
- 雇用契約書を交わす
- 就業規則をつくる
など基本的なところを押さえる必要があります。
けれど、しっかりとした就業規則があっても、それを守るのは「人」です。
経営者が四六時中、目を光らせているわけにはいきません。
規則でがんじがらめにするだけではなく、お互いがチェックし、守りあう”バランスがとれた状態”を保つことがとても重要です。
経営活動の軸である「人」の定着を優先することが大切な労務管理です。
法務とは、企業の業務にかかわる法律に関することです。
具体的には
- 売買契約
- 秘密保持契約
- 業務委託契約
- 株主総会や取締役会の運営
- 定款の変更
- 子会社の設立
- コンプライアンス(法令順守)
- 企業買収
- 知的財産
など多岐にわたります。
これらの重要性は、法的トラブルや不祥事を未然に防ぐ「予防法務」にあります。
特に会社の成長期には、売買契約書がないために金銭トラブルが発生したり、知的財産管理を怠ったことで売れ筋商品を乗っ取られてしまうこともあります。
法的トラブルはおこってからでは遅く、おこる前に必要な手段を講じておかなければ取り返しのつかないことになりかねないのです。
法務は非常に難しく、専門的知識が必要となりますから、決して見よう見まねで、ネットで簡単に手に入る契約書などを応用して自分でつくることのないようにしてください。